前回(「形」と「気」-1)は、『素問』三部九候論の「形の肥痩」を挙げました。今回は、何の為にそれを診るのか?について補足します(③)。

③『素問』三部九候論「帝曰、決死生奈何。岐伯曰、形盛脈細、少気不足以息者危。形痩脈大、胸中多気者死。形気相得者生。参伍不調者病。三部九候皆相失者死。」
 訓読:帝曰ク、死生ヺ決スルハ奈何ン。岐伯曰ク、形盛ン脈細ク、少気シ以ッテ息スルニ不足スル者ハ危シ。形痩セ脈大、胸中気多キ者ハ死ス。形気相イ得ル者ハ生キル。参伍シ調ハザル者ハ病ム。三部九候ヺ皆ナ相イ失ナウ者ハ死ス。
 意釈:帝が言われた。予後の死生判断は、どの様にするのか?と。岐伯が御答えした。身体は盛んであるのに脈は細く、気(呼吸力)が浅く吸息も少なくて満足にできない者は、危険です。身体は痩せているのに脉は大きく、胸中に息が詰まって呼気が満足に出せない者は、死すのです。身体と気が相応で素直な反応をしている場合は生きますが、参伍しても調和せず相反して矛盾する場合は、病む(慢性化する)のです。さらに全身に散在して脈打つ三部九候の診断場所のツボの様子が、バラバラで調っていない者は、死すのです。

とは?形気


3部9候の逆順

 以前に私は、「形・気」概念は中国文化ではとても古くから在る重要な思考法で、物事を「判りやすい有形の物質」と「判りにくい無形のエネルギー」の両面から考えようとする方法であるが、どちらかと言えば、無形で目に見え無い「気」の方を重視する傾向が在り、後に「陰陽」論に統合吸収されて受け継がれて行った!、との趣旨の講義を受けた事があり、深く納得させられました(2017年4月15日Facebook山口秀敏に「4/15(土)森立之研究会。先月に続けてご講義下さった遠藤次郎先生の「形・気」論は「陰陽」観の根源に迫る興味深いお話しでした。」との記録が残って居りました)。

(以下、「形」と「気」-3に続く。)