前回は「気持ちの良い温かさと共に緩める」意味を含んで居る字の使用例を伝統医学の古典から探索する事にした話でした。
 そして以前にも書いておいたのですが、先ず気になった所は、『霊枢』寿夭剛柔篇(ジュヨウゴウジュウヘン)』の記載です(古典の温罨法「熨法」、参照)。以下に要点を再掲して置きます。

 『霊枢』寿夭剛柔篇「布衣ヺ刺ス者ハ、火ヺ以テ之ヺ焠(ニラ)グ、大人ヺ刺ス者ハ、薬ヺ以テ之ヺ熨(ヒノ)ス。」
  意釈: 体質の強い肉体労働者などの平民(布衣)には火針(火で鉄を赤熱して刺す針)を用います。体質の弱い貴族(大人)には、生薬の温湿布で縮こまった皺を伸ばす様に温熱します!と。

 ここには「火針(カシン:火で鉄が赤熱するまで焼いてから刺す針)」と、「薬熨(ヤクイ:生薬の温湿布)」との二つ方法が記載されております。
 その二つの方法は、
➀平民(布衣)に対しては、→「火針」を使って短時間で効率的に治療し、
➁貴族(大人)には、→「薬熨」で手間・暇と費用を掛けてでも「苦痛なく、気持ち良く」行う、
と使い分ける事が説かれています。
 使い分けの時代的な背景としては、古代中国に於いて為されていた治療の説明なので「身分差別」も前提条件に含まれていたと考えるべきでしょう(現在の差別容認の発言ではありませんので、念のため)。
 この二つの方法は、どちらも「火熱」を用いますが、灸とは違って「艾(モグサ)」で焼く訳では在りません。紙巻きの棒灸へのアレンジから出発した当院の「艾は不使用の温熱療法」のイメージは、➀と➁ではどちらか?と言えば、➁に近いと思います。
 しかし、➁の「薬熨」に近いとは言っても「生薬は不使用」なので「薬」の字が抜けた「熨」法です。
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 今回はFacebook「柳原はりきゅう院」 2016年8月30日 の投稿より、陶筒バージョンの使用中の写真を貼って置きます。記事は「5才の女の子もお灸します。」となっております。御覧の通りに子供でも怖がらずに気持ち良く受けて頂けます。
 当時はまだ呼称が未定だったので、「お灸」と仮称しておりますが、より正確には「当院流の熨」法です。
(「熨」のイメージ-3へ続く)