前回は、燃焼部と予熱部を一体化した金属の筒状部分を「スチール缶」に換えて、内径が大きくなった事に伴って起きた、「良い方の変化」として、燃料を燃焼側へと押し出す通過抵抗が減った話でした。
 燃料が、堅く焼け固まり詰まって通らなく成って行く現象は、全体を陶器で作成している段階から起きていた問題です。以前は、それを解消するために「燃焼部の内径を広げる」依頼(灸熨法-➅参照)で改善されるのか?を試行しようとしたのです。しかし、その依頼が通らなかった事は、結果的には自作の「金属筒」の使用に繋がり、反って運が良い事だったのです。
 次に、内径が大きくなった事に伴って起きた、「悪い方の変化」を説明します。燃焼の様相について、記事は「燃焼面が広いので燃料消費は激しい。取り敢えず、大量に出る煙を何とかしないと…」となっておりました(「熨法」とは?-11参照)。
 
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 話を判りやすくする為に、更に「内径を極端に大きく」してみた時の物の写真を見て下さい。ここまで内径が拡がってしまうと、「通過抵抗」以前の問題として、逆に「燃料を入れても留まらずに崩れてコボれ落ちる」のです。故に燃料に別の要素として「崩れ止めの支持作用」を持った成分が必要になってしまいました。この崩れ止めの為の「支持成分」候補として杉の葉と古タオルで試したのが、見て取れるでしょうか?
 この極太缶バージョンでも、一旦燃焼が始まれば圧縮固形化のメカニズムは働いている筈ですが、通過抵抗を上手く制御している間もなくドンドン燃焼して、煙もドンドンだします。燃焼が始まっても、その堅い燃料を詰める事自体が大変で、扱いづらい物でした。
 さて、スチール缶バージョンに話を戻します。こちらでは、一旦燃焼が始まり高温に成れば圧縮固形化のメカニズムは充分に働きます。しかし、着火して未だ低温の内はメカニズムの作用が不足するので、最初だけは崩れ止めの「支持作用」も持った燃料の使用が必要なのです。この初期支持と粉末炭への着火の為に「稲藁」を使用して見たのですが、燃えやすい素材で上手く安定的な燃焼へと移行できました。しかし、最初の「火付け」の為の短時間の使用とは言え、ワラの焼ける臭いはそれなりにキツく煙も立つのです。
(「熨法」とは?-14へ続く)