チョット話の筋が飛ぶので、脱線の様に感じるかも知れませんが、贈答品に添える「のし紙」の「熨斗(ノシ)」には「熨」の字が入ってますね!二文字から成る「熨斗」の熟字は、温熱療法としての「熨法」と意外に関連が深いのです。その故に、今回は「熨斗(ノシ)」の話から始めます。
 身近なので「熨斗紙」自体は、皆さんご存知の物とは思いますが、一応ネットのウィキペディアでの確認をして置きます(以下➀~➃Wikipediaより抜粋)。

➀「熨斗鮑(ノシアワビ)とは、アワビの肉を薄く削ぎ、干して琥珀色の生乾きになったところで、竹筒で押して伸ばし、更に水洗いと乾燥、押し伸ばしを交互に何度も繰り返すことによって調製したものを指した。・・・「のし」は延寿に通じ、アワビは長寿をもたらす食べ物とされたため、古来より縁起物とされ、神饌として用いられてきた。・・・伊勢神宮に奉納される他、縁起物として贈答品に添えられてきた。やがて簡略化され、アワビの代わりに黄色い紙が用いられるようになった(折り熨斗)。」
折り熨斗KIMG1830

➁「熨斗(ノシ)とは、一般的には慶事における進物や贈答品に添える飾りである。ただし、元来長寿を表す鮑が使われていたため、お見舞いなどには熨斗を使う場合もある。現在では黄色い紙を長六角形の色紙で包んだ形状をしているものが多く使われる。祝儀袋等の表面に印刷された、簡略化されたものもある。しばしば水引と併用される。
・・・「火熨斗ヒノシ」から、「伸ばす」ことを意味する「のし」に「熨斗」の字が当てられ、やがて、「熨斗鮑ノシアワビ」(製造には火熨斗は用いられない)を経由し、慶事の贈答に用いる「熨斗ノシ」の用字となる。
 なお、アイロンとしての「熨斗」は漢語では「ウット」と読み、漢語「熨斗」は、熨(熱でしわをのばす)+斗(ヒシャク)で、即ち、昔のアイロンである火熨斗(ヒノシ)を指す。現代中国語でも「熨斗(普通話:yùndǒu)」はアイロンを意味する。」

③「熱した金属の熱と重みにより、布を伸ばすという工夫は中国においても古くからあり、そのような行為を「熨」(「尉:布をしりの下において熱を加え伸ばす」+「火:後世、『尉』が主に敵を鎮圧する武官を指すようになったため、特に火を使うことを強調し別字とした」)と言い、それに用いる道具を「火熨」又は「熨斗(『斗』はひしゃくでその形状をあらわす)」と言った。」

➃「日本では、平安時代に編纂された辞書『倭名類聚抄』に火熨斗(ヒノシ)が記載され、貴族の邸宅などで使われていた。片手鍋のような銅製容器に熾き火にした木炭を入れ、熱と容器の重みで布のしわを伸ばしたほか、冬は寝具を温める用途もあった。庶民は、麻などで織った服を洗った後は、台に載せて砧で打ってしわを取っていた。後には、こてを炭火で加熱して火熨斗の代わりとされるようになった。炭火アイロンが登場した後も、火熨斗は和服を伸ばす際には多く用いられ、電気式アイロンが普及する昭和30年頃まで使われていた。」

 以上を要約して見ます。➁によれば「熨斗」は、漢語では「ウット」と読み、昔のアイロンである火熨斗(ヒノシ)を指します。「現代中国語でもアイロンを意味する」と有るので、試しに「アイロンの中国語」でググって見ると、「熨斗yùndǒu」が出ます。「電(电)」を付けた「电熨斗」では、電気式アイロン商品が大量に出ますので、間違い無い様です。
 また③によれば「布を伸ばすと行為を古くは「尉イ:布をしりの下において伸ばす」と言っていたが、:後に「尉イ」が主に敵を鎮圧する武官を指す文字になったため、特に火を使うことを強調した別字の「熨ウッ」に変化し、それに用いる道具を「火熨(ヒノシ)」又は「熨斗(ウット:斗は炭火を入れるヒシャク)」と言った。
 つまり私が古典的な根拠にしている『素問・霊枢』が編纂された時代には「熨ウッ」字は火熨斗(ヒノシ:火熱で皺を延ばす昔のアイロン)の意味に使われるのが一般的な文字(より古くは「尉イ」:尻に敷く「座り圧しの折り目付けと皺シワ延ノばし」)だった、と思われます。
 以上に因って、私の温熱用具は、柄杓(ヒシャク)型の「熨斗ウット」に倣って、こちらは筒型なので、以後は「熨筒ウットウ」と呼称します。
 同様に、私の温熱療法は「熨法イホウ」では無く「熨法ウツホウ」と呼んで頂きたいと思って居ります。しかし、2016年の合宿で「熨法ウツホウ」と発表し、私は何度も繰り返し「ウツホウ」と呼んだ
のに、しつこく「イホウ」と読まれて終いました。一々の訂正の御願いも面倒なので、現在では私も不本意ながらそれを容れて「イホウ」と読んで居ります。

(「慰」のイメージ-5へ続く)