蓬松養生院(旧・柳原はりきゅう院)

「森立之研究会」や「伝統医療游の会」など、伝統医学の古典考証や研究を綴ります。

2020年03月

 当院の熨法について(21)、「熨法」とは?-13

 前回は、燃焼部と予熱部を一体化した金属の筒状部分を「スチール缶」に換えて、内径が大きくなった事に伴って起きた、「良い方の変化」として、燃料を燃焼側へと押し出す通過抵抗が減った話でした。
 燃料が、堅く焼け固まり詰まって通らなく成って行く現象は、全体を陶器で作成している段階から起きていた問題です。以前は、それを解消するために「燃焼部の内径を広げる」依頼(灸熨法-➅参照)で改善されるのか?を試行しようとしたのです。しかし、その依頼が通らなかった事は、結果的には自作の「金属筒」の使用に繋がり、反って運が良い事だったのです。
 次に、内径が大きくなった事に伴って起きた、「悪い方の変化」を説明します。燃焼の様相について、記事は「燃焼面が広いので燃料消費は激しい。取り敢えず、大量に出る煙を何とかしないと…」となっておりました(「熨法」とは?-11参照)。
 
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 話を判りやすくする為に、更に「内径を極端に大きく」してみた時の物の写真を見て下さい。ここまで内径が拡がってしまうと、「通過抵抗」以前の問題として、逆に「燃料を入れても留まらずに崩れてコボれ落ちる」のです。故に燃料に別の要素として「崩れ止めの支持作用」を持った成分が必要になってしまいました。この崩れ止めの為の「支持成分」候補として杉の葉と古タオルで試したのが、見て取れるでしょうか?
 この極太缶バージョンでも、一旦燃焼が始まれば圧縮固形化のメカニズムは働いている筈ですが、通過抵抗を上手く制御している間もなくドンドン燃焼して、煙もドンドンだします。燃焼が始まっても、その堅い燃料を詰める事自体が大変で、扱いづらい物でした。
 さて、スチール缶バージョンに話を戻します。こちらでは、一旦燃焼が始まり高温に成れば圧縮固形化のメカニズムは充分に働きます。しかし、着火して未だ低温の内はメカニズムの作用が不足するので、最初だけは崩れ止めの「支持作用」も持った燃料の使用が必要なのです。この初期支持と粉末炭への着火の為に「稲藁」を使用して見たのですが、燃えやすい素材で上手く安定的な燃焼へと移行できました。しかし、最初の「火付け」の為の短時間の使用とは言え、ワラの焼ける臭いはそれなりにキツく煙も立つのです。
(「熨法」とは?-14へ続く)

当院の熨法について(20)、「熨法」とは?-12

 前回は、燃焼部と予熱部を一体化した金属部品を「スチール缶」に換え、ネジ止め部分を三点に増やして、台座部のひび割れ問題は、何とかクリアされた話しでした。
 しかし、空き缶で加工作成した筒状部分の太さは、直径が大きくなったので、燃焼の様相が大きく変化してしまいました。
 その良い方の変化を挙げれば、先ず燃料を燃焼側へと押し出して通過させる時の抵抗が極端に減りました。以前の物では、その通過抵抗が大き過ぎて詰まってしまう事が問題だったのです。しかし、図らずも、偶然にその解に辿り着いたのです。
 その「詰まり問題」は、今まで特に強調して採り挙げ無かったのですが、以前の物で起こっていた現象をまず解説してみます。以前(灸熨法-➅)に掲載したFAXの依頼原稿でも触れているのですが、燃料は最初はフワフワに弾力に富んだ状態で詰め始めるのですが、その押し込む圧力と更に予熱の熱が加わるからなのか、堅く焼け固まり詰まって通らなく成って行きます。これは、実行すれば、ただちに直面させられる問題です。それを解消するために燃焼部の内径を広げる依頼を陶芸家様にしたのですが、聞き容れては頂けませんでした。と言うより、一度は「難しいので時間が掛かる」旨の電話を頂いた切り、いくら待っても無駄でした。それで、もう他人を当てにせず、自分でやるしか無いと思って素人陶芸を始めたのです。陶芸は、始めて見ると成形がとても難しく、ナカナカ思う様にはできないので、それなりに悩むのですがストレスの質が違います。他人を当てにして悩むよりはズッと建設的な気持ちを伴っていました。
 燃焼部と予熱部を一体化した金属部品を思い付いたのは、実は素人陶芸での自作部分を減らす為には、既に必要な形に成った物を部品として組み込めば良いのでは?との発想だったのです。この頃にホームセンターで、物色して金属部品として初めに採用した物が、この写真の「異径ホースのジョイントパイプ」です。 
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 さて、この「燃料の詰まり」問題の原因である圧縮固形化が起こるメカニズムを上手く理解し説明できる方法が無いのか?と暫くネットで探索しながら考えてみました。そしてイシューとは別のビジネス概念「構造化思考」が良さそうだと思い至ったので、今回はこの思考体系を適用してメカニズムの分析と言語化に挑戦します。
 先ず、燃料の通過経路を四つの構成要素に分けます。それを通過順に並べると、➀詰め口→、➁予熱部→、③通気燃焼部→、➃燃焼面、と記述できます。そして、その四段階での燃料の燃焼状態を以下の様に整理しました。
➀詰め口(台座把手側の開口部)
 →燃料はフワフワとして弾力性の有る無変化な段階。
➁予熱部(筒状の金属で通気口の無い部分)
 →熱と煙のヤニがこもり、圧着されて固形化が進行する段階。
③通気燃焼部(筒状の金属で通気口の有る部分)
 →息で吹く通気に因って燃焼が始まり燃料の通気性保持成分(蒲穂の綿毛など)から先に減少していく段階。
➃燃焼面(先端の開口部の空気に触れる面)
 →吹かずとも空気に触れているので継続的燃焼に入り、粉末炭が蓄積して高温でユックリと燃焼する段階。
(「熨法」とは?-13へ続く)

当院の熨法について(19)、「熨法」とは?-11

 前回は、燃焼部と予熱部を一体化した金属部品に換え、把手の役割を持つ台座部には素焼きの陶器部品を自作する様になったら、台座部が「スグひび割れてしまう」新たな問題が起こった話しでした。
 把手の台座部が「直ぐにひび割れてしまう」事も、それなりに大問題です。ですが、だからといってその問題の起こらなかった前の段階に逆行し、全体を陶器製に戻す訳には行かない事はハッキリしています。それまでは、とても困難だった「安定した高火力を得る」イシュー(本質的な課題)への対応策として、予熱効率を上げる為めに「燃焼部と予熱部を一体化した金属部品に換える」解決法までやっと辿り着いたのですから、前段階に戻るのは「最適解」を犠牲にする本末転倒な事です。
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 今回はFacebook「柳原はりきゅう院」 2018年 2月3日の写真を再掲します。記事は「スチール缶を加工し、台座に被せて三点でネジ止めしてみた。今のところ快調だが、燃焼面が広いので燃料消費は激しい。取り敢えず、大量に出る煙を何とかしないと…( 一一)」となっております。
 燃焼部の金属部品を厚味のある頑丈な物から、薄手のブリキ缶にして、ネジ止め部分を一点から三点に増やしたら、台座部の「ひび割れ問題」は、何とかがクリアできた様です。台座の外側に被せた「スチール缶」は、薄く弾力に富んでいるので、温度が激変する金属部の膨張・収縮を外側へのたわみの大小として吸収してくれます。その弾力が熱膨張の圧力を吸収し、ひび割れの一因ともなるネジ止め部分への圧力負荷が減ったのです。
 しかし、缶で作成した筒状部分の太さは、とても大口径になりましたので、燃焼の様相が一変してしまいました。
(「熨法」とは?-12へ続く)                   

当院の熨法について(18)、「熨法」とは?-10

 話の筋はチョット脱線するのですが、学術論文の場合は短期間で集中的に執筆する事が多いのですが、近頃連載を始めたこのブログ活動では、コツコツと長期に渡って書くので、未消化だった過去の経験が心の中で整理されて精神衛生に良いと思いました。それともう一つ、「イシュー(Issue:本質的な論点の課題)」というビジネス用語を使うと、創造的な思考が整理され易くなる様ですので、これからも積極的に使用して自らの思考力を鍛えて見たいと思っております。
 さて、前回は、2016年の合宿の直前には、小さな金具を付けるに留まらず「燃焼部の全体を金属に換える事」を試みていた話しでした。前回の写真の燃焼部を取り付ける台座を見れば判ると思いますが、この頃には素焼きの陶器部品を自作する様になって居ました。自作部品は素人陶芸の不格好な物なので、とても未だ人前には出せない!という思いで、合宿では使用しませんでした。
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 今回はFacebook「柳原はりきゅう院」2017年11月2日 の写真を再掲します。記事は「全体的に大きく頑丈にしてみたが、一週間しか持たなかった。(T-T)」となっております。
 前回の物と同様に、燃焼部を頑丈な金属製にして把手の役割を持つ台座部には脆い素焼きの陶器を使った為に、台座部が直ぐにひび割れてしまう新たな問題が起こったのです。
 燃焼部を取り付ける台座の部分は、把手として手が焼けない様にする為に断熱効果の高い「耐火粘土」を素材としています。しかし、「燃料の予熱」には、金属の方が燃焼部からの熱を能く伝導して着火直前の燃料を予め熱する役割には合って居ます。ですから、燃焼部と予熱部を一体の金属にして把手の台座部を別の素材にした方が合理的です。耐火粘土は「土鍋」にもつかわれる様に断熱性に優れていますから、「予熱」には不向きな素材です。「ひび割れ問題」は、それに比べればイシューとしての重要性が低いので、「別の素材を組み合わせる合理性」を犠牲にせず、優先的に保ったままで新たな解決策を探るべきです。
 ここで思考を整理して置きます。最優先に努力を注ぐべき焦点の問題、ここでは「安定した高火力を得る事」をイシュー(本質的な論点の課題)に特定し、その解決法の一つとして「予熱効率を上げる」事が見いだされたのです。タマタマ真似して見てヒントと為った「金具」の元である「ヒーターアタッチメント」の役割をチャンと理解していれば、もっと早くこの場合の「最適解」に辿り着けた筈なのが悔やまれる点です。新たな問題の解決策はこの「最適解」を犠牲にしない方法で探すべきなのです。
(「熨法」とは?-11へ続く)

当院の熨法について(17)、「熨法」とは?-9

 前回は、2016年の合宿での発表を決意し、伝統医療の立場から「この温熱療法の呼称」を決める必然性を自覚させられて古典の調査を始める過程の話でした。そろそろ「熨」の字に思い至たった経緯の話に入るのですが、もう少し前提条件の解説を続けます。
 今回は解説の都合上、時系列では後の投稿では有りますが、先ずFacebook「柳原はりきゅう院」2017年10月27日 の写真を再掲します。その記事は「燃焼部分を金属に変えたら、火力が安定した。しかし、ネジで固定した箇所から陶器の台座がひび割れてしまう。( ̄ー ̄)ウーン、何か補強策は・・・。」となっております。
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 この投稿自体は一年ほど後ですが、実は既に2016年の合宿の前に「燃焼部分を金属に変え」た物を試みて居たのです。 以前に、僅かな改善効果が有った事に縋って、理由も解らず金具を色々と変える試行を暗中模索で続けた事は話しました。ですが、嫌気が出てきてしまいました。
 そもそも「金具が何故改善に繋がるのか?」という事の理由が解って居ないのです。そのモヤモヤとした感じをビジネス用語を借りて言ってみます。様々な検討課題の中で最優先に注力すべき焦点としての「イシュー(Issue:本質的な論点の課題)」が特定できて居ないのです。その問題、ここでは「安定した高い火力を得る事」への的を得た解決法を探索出来る様に成って居ないので方向違いの暴走に疲れてしまっている、と表現できると思います。それは、言わば「正しい方向性をキチンと探り切って無い」事を、直感的には判っているのに、何か根本的な要点に気付けないでいるという嫌な感じです。
 以前(「熨法」とは?-5)に「灯油ストーブ等には、大概は付属されている取付け器具(アタッチメント)の「ヒーター気化器」の役割は、燃料の予熱ですね!それと同様に燃焼前の燃料を予め加熱して、着火直前の燃料に熱が均一に伝わる様にする金具を嵌めたら如何だろうか?との考えで試行していた頃の場面です。」と書いた様にイシューを「燃料の予熱」と捉えられる様に成ったのは実はずっと後の事でした。真似た元々の機能をチャンと理解せずに、形だけを真似ていたからなかなか気付け無かったのです。
 その様に理論的にイシューを特定することが未だできては居なかったのですが、直感的にというよりは、もうヤケクソ的にですが、偶然やって見たら「意外に良かった!」のです。
(「熨法」とは?-10へ続く)

プロフィール
山口秀敏

関東鍼灸専門学校卒

東京医療専門学校
 鍼灸教員養成科卒

信州医療福祉専門学校付属
光和はりきゅう院 元院長

2000年に岡田研吉氏、岩井祐泉氏と森立之研究会を発足し、現在は事務局長兼講師。

「伝統医療 游の会」を会長・松田博公先生、副会長(2人)・杉山勲先生・足立繁久先生達と立ち上げ、事務局長兼講師。



店舗紹介
長野市若穂綿内  
8568-8
イナダハイツ1号室
(個別指導塾まつがく若穂教室様と同じ建物です)


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