蓬松養生院(旧・柳原はりきゅう院)

「森立之研究会」や「伝統医療游の会」など、伝統医学の古典考証や研究を綴ります。

2020年02月

当院の熨法について⑩、「熨法」とは?-2

 今回は2016年8月17日投稿の一枚目の写真を貼って置きます。これは、吹いて火力を再起させた燃焼面をタオル越しに押し当てて温熱して居る所です。タオルに押し当てたその跡が、黒い足跡の様に残っていて、段々に残る色が濃く成って行くのは判りますね?

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 これは、炭の粉末と蒲穂をホグしたワタゲなどで調合した混合燃料の場合では、炭の比率が多過ぎる徴候です。
 蒲の穂を選んだのは、最初はある患者様が偶々「先生、コレも試してみてー!」と取って来て下さったからです。ちょうど串揚げにしたアメリカン・ドッグの様な形をしている「蒲穂」は、解すととても軽い羽毛か綿毛の様な状態に成って爆発的に拡がります。空気を含んでフワッと弾力を保って膨らむ手触りに、何となく「艾」との共通性を感じて特に重視した素材です。「こんな事を試して居るのです」等と話している内に、他にも「ススキやネコジャラシの穂」を取って来て下さるお子様などの協力者が出て来て、その方々に依って幸いな事に素材収集には不自由しませんでした。
 さて、「炭の比率」は、消臭には多い方が良いのですが、多すぎると不都合な事が起こります。「火の粉」が集積して塊に成るのです。どういう事か?を説明して見ますと、ワタゲには通気性を保つ作用が有るのですが、それが先に燃え尽きてしまうと燃焼途中の炭の粒子が通気が悪い状態で燃焼面に溜まります。炭の粒子が溜まり通気が悪化すると、更に燃焼不全となる悪循環を起こして固まりが成長して来るのです。それが黒い足跡を残す犯人です。
 この不完全燃焼の炭の粉の塊まりなのですが、押し当てて熱をタオルに移す事を止めれば、熱を奪われないのでユックリとでは有りますが燃え尽きて解消されて行きます。ですが、治療中はユックリ間を開けて火を休ませては居られませんので、やはり通気が良く、吹けば直ぐに火力が再起する状態を維持する方が良いのです。
(「熨法」とは?-3へ続く)

当院の熨法について⑨、「熨法」とは?-1

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 今度はFacebook「柳原はりきゅう院」2016年8月17日の投稿が元です。先ずは付随写真の三枚目を貼って置きます。これは、息を吹きかけて燃焼促進し、一度弱まった火熱の勢いを再び興している所ですが、先ずはその燃焼面に注目して下さい。その赤熱部分が偏っている事は判りますね!
 艾の「燃える臭い」は、患者様によって好悪は様々なのですが、本当に好きな方は実は極少数です。面前では大概「私は好きです」と世辞を言って下さいますが、嫌な方は来院を止めるだけです。本心を殆ど言って頂け無いのは、当たり前の事です。「言葉」だけを真に受けて居る様では判断を誤り、来院数を減らしてしまいます。この8月の時点では「艾の混入」は止めて「粉末にした炭」と色々な物(主に蒲穂をほぐした綿毛など)の混合物で燃料の調合を工夫して居ました。
 さて燃焼面の赤熱部の偏りですが、当時はこんな燃焼状態を維持するだけでもかなり大変な事でした。「艾の混入率」を徐々に減らしながら、燃焼面全体の均一で安定的な火力を得る事を最大の課題として苦闘して来たのですが、まだこの程度です。
(「熨法」とは?-2へ続く)

当院の熨法について⑧、灸熨法-8

 今回は五枚目の写真を貼って置きます。この燃料の詰め口を広げたバージョンは燃料補充の簡便化を図った物ですが、出来て見れば他にも利点が有りました。掴み方は写真を見て判ると思いますが意外にシッカリと握れて安定感が有るのです。また熱は燃焼面から起こり先端側から熱く成ってそれが段々と伝わって来るのですが、反対側の端だけの接触で安定的に把持できるので燃焼器を掴む手が熱くなり難いのです。以前の物では、長時間の連続使用の限界点を意識させられる事も少なくは無かったのですが、これ以後にはその様な事を殆ど忘れて継続できる様に成りました。


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 さて、前回は当方の依頼ミスで道具をバージョンアップさせる為には頼みの綱であった陶芸家様とのトラブルが起きた話でした。もう忘れようと努めて居たのですが、訪問を承ける事に成ってしまったのです。
 そして、お世話になった方に対して「無礼にならぬ様に無事にやり過ごす決意」を固める間もなく「近くまで来たので寄らせて頂きました」と御夫妻が二人の息子を伴って来院されました。「お久しぶりですね」等と挨拶されながらお土産も頂きました。向こうにすれば「忙しいのに我が儘な要求に答えてやった」のです。
 そして、ご主人がベットに上がられ、私は陶器に点火して施術を始めました。しかし、決意が不充分だったせいか「もう、こんな気持ちでは、治療出来ない!」との想いが込み上げて来てしまったのです。私は仕方無く手を止めて、「実は・・・」と作成して頂いた物の実用上の不都合な点を言い始めました。
 その時「お茶を買って来る」と言われて、奥様は車で外出されました。「詰まりこう言うこと?」、「こう直せば良いの?」と二・三の確認をして「その形だと重くなり過ぎて使い辛くない?」と最後に念を押されたのですが、「それでも、その様にしたい」とお答えして、やっと意志の疎通した実感が得られ、話は直ぐに終わりました。間もなく、お帰りになられた奥様からペットボトルのお茶を頂き、「ラッパ型て言ったのは先生じゃない!」との御小言も頂きました。
 そして「今回は無料で」との事で、再作成して下さったのがこの黒い陶器です。後に奥様より次回から値上げを御願いする御連絡を頂きました。
(「熨法」とは?-1へ続く)

当院の熨法について⑦、灸熨法-7

 前回は、陶芸家様頼みで道具をバージョンアップして行った事を話しました。
 今回は四枚目の写真を貼って置きます。このバージョンが出来る過程は、光和学園の退職の直前に一度依頼の大失敗をしてから2015年6月の「柳原はりきゅう院」の開業を経て、次の2016年の春まで時間が掛かって何とか再作成が出来たのです。全く、やっとの思いでした。
 前の物では、燃料を詰める入れ口の面積が大きくは無いので急いで詰めるとボロボロと零れます。治療中でも、もどかしい思いで小さな塊に分けて回数も頻繁に補充して居たのです。新しい物は燃料の詰め口を広げたので、治療中の燃料補充にも、比較的大掴みにパッと取って、急いで詰めても溢れ落ち難くなりました。
 このアイデアは、私としては簡単とまでは言わ無いのですが、少なくとも「困難な要求では無い」と思って居たのです。その依頼の時、電話口にご家族が出られて忙しそうなご様子でした。アイデアの意図を何度も説明し「詰め口を広げて下さい」と要望を繰り返したのですが、「よく判らない」と何度も                                                                                                                                                                     ➃13925574_1319376114774267_3615364210099357726_o

言われてしまい「詰める所をラッパの様な形に!」と言って、やっと「判りました。何とかやって見ます」との返答を頂けたので、不安ながらも期待していたのですが、結果は出来た20個程が全滅でした。
 「詰め口」ではなく「全体」が先細りに為った物が届いたのです(これは今では写真も含めて何一つ残っては居ません)。この際、もう煙が出ようと臭くなろうと、フワッとした弾力に富む「艾」専用にすれば何とか使いようの見出せる物が一つ位有るのでは?と一旦は工夫して見る事にしました。しかし、指でなく棒などで押し込んでも、固く詰まるだけで如何しても一つ残らず使用不能なのです。半日程かけて相当に頑張ったのですが、もう無理!と諦めざるを得なく為った時には、ドス黒い気持ちが膨れ上がって来る様に感じました。しかし、今までの事を考えればこれからもお世話に為らなければいけない事が起こるかも知れないと思い、文句は言わずに黙って他所の信頼できる方を探そうと決意しました。そして代金を振り込んで「もう終いにした」気に為り、もう嫌な事は忘れようと決めた積もりに為って居ました。
 しかし、向こうにすれば終いでも何でも無く「何事も無かった」のです。お正月に御一家共々で治療を兼ねて会いに来られる、との御電話を頂いた時、お断りすれば良かったのですが、咄嗟の言い訳も面倒で了承してしまったのです。
(灸熨法-8へ続く)

当院の熨法について➅、灸熨法-6


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 前回は、初期の道具改善の試みと、使用する燃料に対する減煙(理想は無煙無臭)に向けた工夫を始めた事のお話しでした。
 この陶器の治療道具をバージョンアップさせる為には陶芸家さんの協力が不可欠です。大体の意図と要望を伝えて、それに沿って変更を加えた物を幾つか試作して頂き、実際に使用してみて一番良い物を選び、それをベースに次回の「改善点」を考えて見る事を繰り返して行きました。
 陶芸家サンとやりとりした手紙等は全て残って居ないと思っていました。しかし、もう日時不明なのですが過去の試作依頼のFAX原稿がレターボックスの奥から出てきたので、今回はその写真を貼って置きます。
(灸熨法-7へ続く)
プロフィール
山口秀敏

関東鍼灸専門学校卒

東京医療専門学校
 鍼灸教員養成科卒

信州医療福祉専門学校付属
光和はりきゅう院 元院長

2000年に岡田研吉氏、岩井祐泉氏と森立之研究会を発足し、現在は事務局長兼講師。

「伝統医療 游の会」を会長・松田博公先生、副会長(2人)・杉山勲先生・足立繁久先生達と立ち上げ、事務局長兼講師。



店舗紹介
長野市若穂綿内  
8568-8
イナダハイツ1号室
(個別指導塾まつがく若穂教室様と同じ建物です)


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休院日  日曜日
     
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     電話確認願います

   ☎026-400-1396

施術料 税込1時間
大人3,900、高校生3,000、
中学生2,000、小学生1,000、
幼児800円