先ず「熱を内れるべき寒痺」の「痹」とは、どの様な事か?から確認して置きましょう(⑧、⑨)。
⑧『説文』「痺、湿病也。」
訓読:痺ハ、湿病ナリ。
意釈:痺とは、湿の病です。
⑨『素問』痺論篇「黄帝問曰、痺之安生? 岐伯対曰、風寒湿三気雑至、合而為痺也。其風気勝者為
行痹。其寒気勝者為痛痹。其湿気勝者為著痹也。」
訓読:黄帝問ウテ曰ク、痺ハ之レ安クニカ生ズ?ト。 岐伯対エテ曰ク、風寒湿ノ三気雑ジリ至リ、
合シテ痺ヺ為スナリ。其ノ風気勝ツ者ハ行痹ヺ為シ、其ノ寒気勝ツ者ハ痛痹ヺ為シ、其ノ湿気勝ツ
者ハ著痹ヺ為ス也、ト。
合シテ痺ヺ為スナリ。其ノ風気勝ツ者ハ行痹ヺ為シ、其ノ寒気勝ツ者ハ痛痹ヺ為シ、其ノ湿気勝ツ
者ハ著痹ヺ為ス也、ト。
意釈:黄帝が質問して言われました。痺と言う物はどの様な所に生ずるのだろうか?と。岐伯が答
えて言いました、風寒湿の三気が混じり限度に達すると、合体して痺(閉塞して通じない状態)を形成
するのです。その風気勝つ者は行痹(コウヒ:移動性が高くて動き易い邪気塊)を為す。その寒気勝つ
者は痛痹(ツウヒ:痛みの強い邪気塊)を為す。その湿気勝つ者は著痹(チャクヒ:移動性は無く同じ所に
粘着し続ける邪気塊)を為す也、と。
えて言いました、風寒湿の三気が混じり限度に達すると、合体して痺(閉塞して通じない状態)を形成
するのです。その風気勝つ者は行痹(コウヒ:移動性が高くて動き易い邪気塊)を為す。その寒気勝つ
者は痛痹(ツウヒ:痛みの強い邪気塊)を為す。その湿気勝つ者は著痹(チャクヒ:移動性は無く同じ所に
粘着し続ける邪気塊)を為す也、と。
⑨に拠れば、「痹」と言うのは、「寒邪」単独では無く、少なくとも「風」「寒」「湿」の三種の邪気に因る複合病態です。
また複合する三気の中でも風邪の勢力が勝つと風の性質を反映した「移動性が高い痹(行痹:コウヒ)」となり、寒邪が勝つと寒冷の性質を反映した「痛みが強い痹(痛痹:ツウヒ)」となり、湿邪が勝つと水湿の性質を反映した「粘着性の高い痹(著痹:チャクヒ)」となります。
つまり、「痹」を形成する邪気の色々な種類の混合比に因ってその痹の性質が変わる、と言う事ですね!
また複合する三気の中でも風邪の勢力が勝つと風の性質を反映した「移動性が高い痹(行痹:コウヒ)」となり、寒邪が勝つと寒冷の性質を反映した「痛みが強い痹(痛痹:ツウヒ)」となり、湿邪が勝つと水湿の性質を反映した「粘着性の高い痹(著痹:チャクヒ)」となります。
つまり、「痹」を形成する邪気の色々な種類の混合比に因ってその痹の性質が変わる、と言う事ですね!
(以下、「滞り」と疎通-8に続く。)