蓬松養生院(旧・柳原はりきゅう院)

「森立之研究会」や「伝統医療游の会」など、伝統医学の古典考証や研究を綴ります。

伝統医学の「虚実」(07)、「形」と「気」-4

 小口様、『「形」と「気」-1』へのご意見、ありがとうございました。コメントは「望文生義の具体例をもっと挙げて欲しい」との事ですね!必要性に応じた具体化を心掛けて見ます。
 嘗て横行してしまった「体格の虛実」については、特定の個人攻撃に為らない程度に抽象度を下げ、判りやすく極端化した記述をして見ます。
 もし経験豊富な先生が「体重~身長~BMI(Body mass index)~のデップリとした実証体質の患者様でしたが、脈診と腹診で確かめてみると意外に虛証なので処方は~云々」等と、臨床例を解説して下さったとしたら、このご指導には改善点が有りますね!
 日本語でお話し下さっても望文生義?的に曲解されてしまうと、後半の「脈診と腹診~云々」の多角性も省いて意欲的に単純化した「簡便マニュアル」に丸ごと全体をマルッと矮小化されて終まいます。この手の勘違いをした教条主義者は、未だに何処にでも居て珍しくも無いのです。
 『孟子』尽心上には「大匠ハ拙工ノ為ニ縄墨ヺ改廃セズ(大匠不為拙工改廃縄墨)」と云います。これを放置すれば「業界水準の底下げとグレード・ダウン」に繋がって終います。
 所謂る昭和漢方の「体質の虛実」問題は、既に「学会レベルでは訂正されて決着済み」の筈ですので、これ位にして置きます。

(以下、「虚実」の原点-1に続く。)

伝統医学の「虚実」(06)、「形」と「気」-3


「四経」KIMG2003


➃馬王堆帛書『経法』 論篇
「物各[合其道者]、謂之理。理之所在胃之道。物有不合于道者、胃之失理。 失理之所在、胃之逆。逆順各自命也、則存亡興壊可知。」

訓読:物ガ各ノ道ニ合ウ者ハ、之ヲ理ト謂ウ。理ガ在ル所之ヲ道トイウ。物ガ道ニ合ワザルコト有リ、之ヺ失理トイウ。失理ノ在ル所、之ヲ逆トイウ。逆順各ノ自ラ命ルヤ、則チ存亡興壊ヲ知ル可シ。
意釈:物事がそれぞれに道にかなっているのは「理」と言い、理の有る所を「道」と言う。物事が道にかなわないのは「理を失う」と言い、「理を失」ってしまった事を「逆」と言う。「逆・順」のそれぞれが自ずと現れたなら、「存・亡、興・壊」を察知できる。

逆

 馬王堆黄帝経『経法』では、「天道」思想の天人相関の「道」に適う事が「順」、適わぬ失理が「逆」で、 「逆・順」は背理・合理の道の顕現です
 故に、「逆順」は「死生」の兆候として顕現する。
?逆順とは

(以下、「形」と「気」-4に続く。)

伝統医学の「虚実」(05)、「形」と「気」-2

 前回(「形」と「気」-1)は、『素問』三部九候論の「形の肥痩」を挙げました。今回は、何の為にそれを診るのか?について補足します(③)。

③『素問』三部九候論「帝曰、決死生奈何。岐伯曰、形盛脈細、少気不足以息者危。形痩脈大、胸中多気者死。形気相得者生。参伍不調者病。三部九候皆相失者死。」
 訓読:帝曰ク、死生ヺ決スルハ奈何ン。岐伯曰ク、形盛ン脈細ク、少気シ以ッテ息スルニ不足スル者ハ危シ。形痩セ脈大、胸中気多キ者ハ死ス。形気相イ得ル者ハ生キル。参伍シ調ハザル者ハ病ム。三部九候ヺ皆ナ相イ失ナウ者ハ死ス。
 意釈:帝が言われた。予後の死生判断は、どの様にするのか?と。岐伯が御答えした。身体は盛んであるのに脈は細く、気(呼吸力)が浅く吸息も少なくて満足にできない者は、危険です。身体は痩せているのに脉は大きく、胸中に息が詰まって呼気が満足に出せない者は、死すのです。身体と気が相応で素直な反応をしている場合は生きますが、参伍しても調和せず相反して矛盾する場合は、病む(慢性化する)のです。さらに全身に散在して脈打つ三部九候の診断場所のツボの様子が、バラバラで調っていない者は、死すのです。

とは?形気


3部9候の逆順

 以前に私は、「形・気」概念は中国文化ではとても古くから在る重要な思考法で、物事を「判りやすい有形の物質」と「判りにくい無形のエネルギー」の両面から考えようとする方法であるが、どちらかと言えば、無形で目に見え無い「気」の方を重視する傾向が在り、後に「陰陽」論に統合吸収されて受け継がれて行った!、との趣旨の講義を受けた事があり、深く納得させられました(2017年4月15日Facebook山口秀敏に「4/15(土)森立之研究会。先月に続けてご講義下さった遠藤次郎先生の「形・気」論は「陰陽」観の根源に迫る興味深いお話しでした。」との記録が残って居りました)。

(以下、「形」と「気」-3に続く。)

プロフィール
山口秀敏

関東鍼灸専門学校卒

東京医療専門学校
 鍼灸教員養成科卒

信州医療福祉専門学校付属
光和はりきゅう院 元院長

2000年に岡田研吉氏、岩井祐泉氏と森立之研究会を発足し、現在は事務局長兼講師。

「伝統医療 游の会」を会長・松田博公先生、副会長(2人)・杉山勲先生・足立繁久先生達と立ち上げ、事務局長兼講師。



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